中学受験の国語で記述問題は、多くの生徒が苦手としています。なぜなら、記述問題はただ単に正しい答えを選ぶのではなく、自分の言葉で文章をまとめる能力が求められるからです。しかし、いくつかのポイントを押さえれば、問題をうまく解くことができます。この記事では、3つのポイントを詳しく解説します。
3つのポイントを学ぶと、記述問題に自信をもって取り組むことができます!
[ポイント①]問題文の【問いの中心】に線を引く
記述問題に限らず、国語の問題でつまずいているお子さんは、聞かれたことに正しく答えられていないケースが多いです。
そこで、【問いの中心】に線を引くよう指導します。
【問いの中心】とは、問題文で「何を聞かれているか」を示す部分です。これがわかると、どんな答えをすればよいかが明確になります。たとえば、「なぜ」「どのように」「何を」といった疑問詞が含まれる部分が問いの中心です。この部分に注目すると、答えることが明確になります。
【問いの中心】の例
・「この一文の意味を説明しなさい」
・「どのような人物だと思っていますか」
・「どうのようなことを表していますか」
・「登場人物AとBの関係を説明しなさい」
・「主人公が~な行動をしたのはなぜですか」
・「主人公の心情がどのように変化しましたか」
上記の例にあげたところに線を引いて、問われていることに確実に答えられるようにしていきましょう。【問いの中心】を正しくとらえて解答すべきことを明確にすることが第一歩です。
問題文の【問いの中心】に線を引くのは基本中の基本です。お子さんが確実にできているか、確認してあげてください。
[ポイント②]できるだけ短い解答をつくる
記述問題で困っているお子さんは、いきなり長い文章をつくろうとしてしまっている傾向があります。
そうすると、何から書いてよいか分からなくなったり、書き始めと書き終わりの整合性がとれず支離滅裂になってしまったりします。
そうならないために、【問いの中心】に対するできるだけ短い解答をつくりましょう。
例えば、「なぜ主人公はその場面で泣いたのですか?」という問いは、「なぜ」と問われているので「〇〇だから」と解答すれば良いことがわかります。
【問いの中心】に対する短い解答の例
・「この一文の意味を説明しなさい」 → ○○ということ
・「どのような人物だと思っていますか」 → ○○な人物
・「どうのようなことを表していますか」 → ○○なこと(を表している)
・「登場人物AとBの関係を説明しなさい」 → ○○という関係
・「主人公が~な行動をしたのはなぜですか」 → ○○だから
・「主人公の心情がどのように変化しましたか」 → (○○という心情に)変化した
上記のような短い解答を、記述の「核」といいます。記述の「核」を記述の文末に置くことができるようになれば、問われていることに的確に答えられるようになります。問われていることに的確に答えられないと、せっかく書いた記述も0点になってしまいます。まずは、記述の「核」がつくれるよう、トレーニングを重ねてください。
記述の「核」を枠外にメモしておくなどして、確実に文末にもってこれるようにしましょう。
[ポイント③]文末の短い解答に”トッピング”する
記述の「核」となる短い解答ができても、これだけでは字数が足りません。
そこで、短い解答に文をつけ足していきます。私はこれを”トッピング”と呼んでいます。
お子さんがどのような文をトッピングすればよいか困っていたら、
以下の3つの方法を提示してあげてください。
①対比 → 2つのものを比較する書き方です。「○○だったが」
②原因 → (記述の核)の原因を記述します。「○○だから」
③説明 → (記述の核)を詳しくする文をつけ足します。「○○なほど」「○○くらい」
トッピングの具体例
[対比の例]
核:主人公は活発になった
対比のトッピング:以前は内気な性格だったが、新しい学校に入ってからは活発になった
[原因の例]
核:彼女は毎日勉強した
原因のトッピング:試験に合格したいという強い意志があったから、彼女は毎日勉強した
[説明の例]
核:彼女はとても親切だ
原因のトッピング:道に迷った人に道案内をするほど、彼女はとても親切だ
これらのトッピングを使い分けることで、短い解答を具体的で説得力のある文章に仕上げることができます。お子さんが記述問題を解く際に、ぜひこれらの方法を活用してください。
記述問題 その他のポイント
これまで述べた点以外にも、以下のことに注意して記述問題に取り組みましょう。
1. 話し言葉で書かない
文章は書き言葉で書くことが求められます。話し言葉を避け、正確で丁寧な表現を心がけましょう。
2. 指示語やたとえの表現を明確にする
指示語(これ、それ、あれ)やたとえの表現をそのまま使わず、それぞれが何を指しているのかを明確に書きます。これにより、読み手にとってわかりやすい文章になります。
3. 主語と述語の一致を確認する
主語と述語が一致しているかどうかに注意を払いましょう。主語が変わったり、述語がずれたりしないように気を付けます。
4. 同じ言葉を多用しない
同じ言葉を繰り返し使わないように注意します。適度に言葉を変えることで、文章が単調にならず、読みやすくなります。
5. 「ら抜き言葉」を避ける
「見れる」「食べれる」などの「ら抜き言葉」は避け、正しい表現を使います。「見られる」「食べられる」といった形にします。
6. 傍線前後の内容を利用する
記述で書く内容のヒントは、傍線部の前後にあることが多いです。そのため、傍線部の近辺をしっかり読み、必要な情報を見逃さないようにします。
7. わかりやすい文章にする
記述は「誰が読んでも内容がわかりやすい文」に仕上げることが重要です。本文に抽象的な表現があれば、よりわかりやすく言い換えることも考えましょう。
以上のポイントを押さえることで、記述問題に対する自信を持ち、正確かつわかりやすい文章を書くことができるようになります。これを実践して、中学受験の国語記述問題を克服しましょう。
記述問題を攻略する3つのポイント まとめ
[ポイント①] 問題文の【問いの中心】に線を引く
問題文で「何を聞かれているか」を示す【問いの中心】に線を引き、質問の意図を正確に把握しましょう。これにより、どのような答えをすればよいかが明確になります
[ポイント②] できるだけ短い解答をつくる
長い文章を作ろうとせず、まずは【問いの中心】に対する短い解答をつくりましょう。この短い解答を記述の「核」とし、問われていることに的確に答えることが重要です。
[ポイント③] 文末の短い解答に”トッピング”する
短い解答に文をつけ足して具体的で説得力のある文章に仕上げます。対比、原因、説明の3つの方法を使い分けて短い解答を補強しましょう。
これらのポイントを押さえて、記述問題に取り組んでください。
コメント