国語のテストで時間切れになってしまうお子さんの悩みは多くの家庭で共通する問題です。国語のテストは、他の科目と比べて時間配分が特にシビアで、しっかりとした対策を立てて臨むことが求められます。時間切れになってしまう原因は主に2つあります。
【時間切れになる原因①】 本文を読むのに時間がかかる
【時間切れになる原因②】 問題を解くのに時間がかかる
この2つの原因の対処法について詳しく見ていきましょう。
【時間切れになる原因①】本文を読むのに時間がかかる
国語テストの解答が遅くなってしまう原因の一つに、本文を読むスピードが遅いことが挙げられます。読むスピードが遅いと文章全体を把握するのに時間がかかりすぎてしまいます。しかし、速く読めば良いというわけではなく的確さも必要です。ここでは、読むスピードが遅くなる原因と、その対処法を解説します。
本文を読むのに時間がかかる理由
■一字一字丁寧に読みすぎている
文字を一文字一文字追いかけながら読んでしまっていることがあります。このような状態では、言葉を意味のある「塊」として捉えることができず、文の流れや構造を理解することが難しくなります。
■重要な情報に焦点を当てられていない
読むスピードが遅い原因には、文章の中で何が重要なのかを瞬時に判断できていないことも関係しています。これにより、全体の構造を把握するのに時間がかかり、結果として解答が遅れてしまいます。
読むスピードが遅いと一度読んだだけで理解できず、何度も読み返してしまい、さらに時間がかかってしまいます。
【対処法】本文を読むスピードを上げるために
音読の練習を取り入れる
■音読の効果
音読は、声に出して読むことで、目だけでなく耳も使って情報を処理します。よって以下のような効果があります。
理解力の向上: 文章の構造やリズムを感じながら読むことで、複雑な文でも理解しやすくなります。
記憶力の強化: 声に出すことで記憶に残りやすく、繰り返し読むことで内容が定着します。
集中力の向上: 文字を読み、声に出し、耳で聞く過程で集中力が高まります。
言葉をまとまりでとらえる力の向上: 音読を通じて、文章の中で言葉のまとまりやフレーズを自然に把握できるようになり、スムーズな理解が可能になります。
音読する教材は、塾で解いた教材の物語文や説明文などで大丈夫です。
積み重ねが大切なので、「学習をスタートした最初の5分」と時間を決めて、継続的に行いましょう。
■音読で確認するポイント
お子さんが音読をする際に、保護者がきちんと聞いてあげることが重要です。音読を聞くときに確認するポイントは、以下の通りです。
・文章をしっかりと目で追えているか確認し、誤字脱字、読み飛ばしがないか確認する。
・読み上げる声のスピードが適切かどうか、早すぎたり遅すぎたりしないかを確認する。
・内容を理解しながら読んでいるかをチェックし、不十分であるようなら繰り返し読ませる。
・音読中に意味が分かっていない言葉が出てきた場合、言葉の意味を解説し理解を深める。
線を引きながら本文を読む
線を引きながら本文を読むと、スピードは遅くなってしまいますが、文章の要点を捉えながら読み進めることができます。これにより、後で見返すときに大切なところがすぐ分かり、後で問題にスムーズに解答することができます。結果的に、時間短縮につながるのです。
■線を引くポイント
では、線を引くべきポイントを、物語文と説明文に分けて解説します。
[物語文]
- 登場人物:登場人物の性格や特徴が分かる部分に線を引くと、人物像や物語の展開が理解しやすくなります。
- 心情:登場人物の気持ちを表す部分は物語の理解に重要です。特に気持ちが変わる場面に線を引くと、物語の流れや人物の内面を深く理解できます。
- 場面の変化:時間や場所、出来事が変わる場面に線を引くと、物語の展開が整理しやすくなります。
- 比喩表現:比喩や象徴的な表現に線を引くことで、物語のテーマや登場人物の心情をより深く理解できます。
[説明文]
- 筆者の意見: 筆者の意見や考えが示されている部分に線を引きます。「~べきだ」「重要だ」などの表現に注目すると、筆者の主張を理解しやすくなります。
- 具体例とまとめ: 具体例の後に続く「つまり」「要するに」といったまとめの部分に線を引きます。これにより、筆者の考えを整理しやすくなります。
- 対比表現: 異なるものを比較する「しかし」「一方で」といった対比表現の前後に線を引くと、二つの事柄の違いが分かりやすくなります。
- 重要な言葉の定義: 特定の言葉や概念を定義する「~とは」「~というものは」といった部分に線を引きます。これで、筆者の意図を正確に理解できます。
■線を引くポイントを指導する際の留意点
線を引くポイントを指導する際には、いくつかの留意点があります。
まず、子どもはすぐに線を正確に引けるようにはなりません。線を引くスキルは時間をかけて徐々に身に付けていくものです。たとえ間違った箇所に線を引いてしまったとしても、その努力を認めてあげることが重要です。過度に間違いを指摘すると、子どもが線を引くこと自体をためらうようになってしまいます。
さらに、子どもが見つけられなかった重要な部分については、指導者が補足して教えてあげることが大切です。このようにして、子どもが線を引くポイントを理解し、自信を持って取り組めるようサポートしていきましょう。
【時間切れになる原因②】問題を解くのに時間がかかる
問題を解くスピードが遅い原因は、本文の内容を十分に理解できていなかったり、設問で問われているポイントを正確に捉えられていないことが考えられます。また、選択肢や記述に迷いが生じることで時間がかかり、結果的にスピードが遅くなることもあります。
問題を解くスピードを上げるための方法を解説していきます。
【対処法】問題を解くスピードを上げるために
解き方の手順を定型化する
国語の読解問題に対して、解き方を定型化することで、安定して効率よく正解にたどり着くことができます。以下に、その方法をわかりやすくまとめます。
1.本文をすべて先に読む
最初に本文をしっかりと読み、全体の流れや筆者の意図を把握することが重要です。設問から先に読むのではなく、本文をすべて読んでから設問に取り組みます。設問や本文を交互に読むような読み方をすると、文章の内容が途切れてしまうため、文章全体の理解を深めることができません。重要なポイントをおさえながら最初に本文を読むことで、設問に対する適切なアプローチが可能になります。
2.問われていることを確認する
設問に取り組む際には、まず「何が問われているのか」を正確に把握することが重要です。設問文の中の疑問詞(例:「なぜ」「どのように」「どうして」)に注目し、それに対応する本文の内容を探します。そして、設問に答える前に該当する本文の箇所を再度読み直し、設問で問われていることが本文中でどのように述べられているかを確認します。これにより、設問の意図をしっかりと捉えた解答が可能になります。
3.記号選択問題の解き方の手順
記号選択問題では、最初に選択肢を見るのではなく、自分で解答を考えてみることが重要です。先に選択肢を読んでしまうと、子どもは最もらしい表現に引っぱられてしまいます。次に、選択肢の明らかに本文と矛盾するものや書かれていない部分に✕をつけ、残った中から最も正しいものを選びます。微妙な選択肢が残ったら、選択肢同士を比較しどちらがより適切かを考えます。
このように、選択問題も解き方の手順を定型化することで、スムーズに解くことができます。
選択問題の解き方は、以下の記事で詳しく解説しています。
↓↓選択問題のスピードをあげるための[5つの手順]を解説
4.記述問題の解き方の手順
記述問題を速く解くためには、最初に結論を考えることが大切です。結論を先に決めて記述の文末に配置することで、問われていることに正確に答えられるようになります。また、結論に向かって話が進むので、読みやすくなり、論理的な答えが書けるようになります。そして、結論になる文に、字数に合わせて文章を付け加えることで、記述を完成させましょう。
このように、記述問題でも解き方の手順を明確にしていきましょう。
記述問題の解き方は、以下の記事で詳しく解説しています。
↓↓記述問題の解き方を解説している記事はコチラ
時間配分を意識する
中学受験において、大問ごとの時間配分は試験で高得点を取るための重要な戦略の一つです。限られた時間の中で最大限の成果を上げるために、以下のようなポイントを押さえながら対策を進めましょう。
■全体時間の把握と配分計画の立て方
テスト開始前に全体の時間を把握し、各大問にどれだけの時間を割り当てるかを計画することが重要です。ただし、各問題に固定した時間を設定するのではなく、問題の難易度や分量に応じて柔軟に時間を配分する必要があります。例えば、簡単な問題にあまり時間をかけすぎないようにするなど、全体を見据えた時間管理が求められます。
■模試や過去問を使った時間配分の練習
模試や過去問を利用して、実際に時間を計りながら練習することが効果的です。これにより、問題ごとにどれだけの時間がかかるのかを体感し、最適な時間配分の感覚を身につけることができます。また、実際の試験形式に慣れることで、本番での焦りを軽減することができます。
■問題を解く順番の工夫
試験時間を効率的に使うためには、問題を解く順番も重要です。特に、解けそうな問題から取り組むことで確実に得点を稼ぐことができ、難しい問題に取り組む時間を後に回すことができます。この順番を工夫することで、時間のロスを最小限に抑えることができます。
お子さんがテストの時間切れになってしまう原因を正しく見取り、お子さんに合った対処法を指導するようにしてください!
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