【2024】四谷大塚「第1回合不合判定テスト」国語・物語文の記述問題を徹底解説

2024年4月7日実施、四谷大塚「第1回合不合判定テスト」

今回の物語は『あけくれの少女』(著:佐川光春)
主人公の女の子が、幼い弟ばかりかまっている両親と、自分を養女にしたいと考えている伯父夫婦との間で、葛藤している様子が描かれています。時代の設定が80年代後半であるため、当時の生活や時代背景なども補足してあげる必要がありますね。

佐川光春さんの作品で注目すべきなのは『大きくなる日』。
2017年に武蔵・立教池袋・立教新座2017など、多くの学校で出題されました。

『駒音高く』は2020年に開智先端・片山学園・芝で出題されています。



今回は、子どもたちがつまずきやすい記述問題[問4][問8]を解説します。

[問4]中心人物の気持ちを記述する問題

①【問いの中心】に注目する

[問4]
―――線④「父に背中をさすられ」ながら、真記はどういう気持ちになりましたか。60字以内で答えなさい。

記述問題を考える際は、まず【問いの中心】に注目します。
今回の【問いの中心】は「どういう気持ち」と問われている部分です。

まずは【問いの中心】に注目し、「~~な気持ちになった」と解答すればよいことをおさえます。

②気持ちが複雑に入りまじっていることを読み取る

主人公がどんな気持ちになったか、わかるところを文章から見つけていきす。
ここで大切なのは「主人公の気持ちが複雑に入りまじっていること」をおさえることです。

このように、マイナス心情とプラス心情の複雑な主人公の気持ちが書かれています。
中学受験の物語文には、このような場面が問題になることが多いです。

では、上記の
(1)しゃくりあげた → マイナス心情
(2)背中をやさしくさすってくれた → プラス心情
(3)弟が憎たらしく、弟ばかりかまう母もいやだった → マイナス心情

この中で、④――――の時の気持ちが一番強く表れているところはどこでしょうか?
正解は(1)しゃくりあげたというマイナス心情です。

注目すべきは、④――――の直後の文章です。
――――部の記述の前後は、特に丁寧に読む必要があり、そこに書かれている主人公の気持ちに注目しましょう。

では【しゃくりあげる】という表現を正確に読み取っているでしょうか。
【しゃくりあげる】→「息を急に吸い込むような声をし、肩をふるわせて泣く」という意味があることをおさえ、強いマイナス心情であるることを確認しましょう。

ここから、父に背中をさすられてうれしかった気持ちはあるが、心情的には(マイナス)の気持ちが大きく、両親や弟に不満を感じていることを読み取らなければいけません。

③文末表現に気をつけて文章をまとめる

②でまとめるべきポイントをしぼったので、いよいよ記述していきます。

ここで注意するポイントは、文末表現に(マイナス心情)を書くということです。
②で注目した通り
「父に背中をさすられた」直後に、「しゃくりあげた」というマイナス心情が書かれていることから、中心はマイナス心情です。

【問いの中心】の答えを文末に書かなければならないので
「両親や弟が、憎らしい・いやだ」という気持ちが強いことが読み取れます。

日本語は文末表現に結論がくるため、文末に「父に背中をさすられてうれしい気持ち」と書いてしまうと誤答になります。主人公の心情を正確にとらえ、文末表現に(マイナス心情)を書きましょう。

[問8]主人公の変容を記述する問題

①【問いの中心】から、心情の変化を問われている問題であると判断する

今回の問題は、主人公がどのように心情が変化したかが問われており、物語文でよく出題される問題です。

[問7]
―――線⑦「おじさんのほうはすぐにでも真記を養女にしたい」とありますが、彼女自身はどうしたいと思うようになりましたか。45字以内で答えなさい。

この問題の【問いの中心】は、主人公が「どうしたいと思うようになったのか」という部分です。

ここで注目すべきポイントは
「どうしたいと思ったか問われているのではなく「どうしたいと思うようになったのかと問われている点です。

「思った」と「思うようになった」の違いに注目することができていたでしょうか?
「思うようになった」のかという問いから、心情が変化した後の主人公の気持ちを問われていると判断し、解答するようにしなければなりません。

②主人公の心情の変化が書かれている部分は、特に注意深く読む

この物語における主人公の心情の変化を理解するため、変化前の気持ちをまとめました。

[主人公の変化前の心情]
〇伯父夫婦にいろいろなものを買い与えてもらい、うれしい気持ち → プラス心情
(3行目)真記はこのまま三原のうちにいたいと思った。
(19行目)感激で胸をふるわせながら、真記はリボンをていねいにほどいた。

〇自分の両親と弟の誠一を、憎む気持ち → マイナス心情
(35行目)ひとりになって、あらためて自分がおかれた状況を意識すると、うれしさよりも、かなしさがはるかにまさった。
(47行目)誠一が生まれるまでは、たっぷりあそんでくれたのにとおもうと、甘えん坊の弟が憎たらしかった。弟ばかりかまっている母もいやだった。

〇両親や弟の誠一を好きな気持ち → プラス心情
(82行目)両親から、弟か妹ができると知らされたときは、ものすごくうれしかった。
(99行目)それに家事を娘にまかせているからといって、母は家族をないがしろにしているわけではない。
(123行目)[両親にいちゃもんをつけそうな伯父に]内心で不満をおぼえながらも、真記はふたりと仲良くすごし、食事の場をもりあげた。

上記のように【プラス心情→マイナス心情→プラス心情】と変化しており、
このような心情の変化から、物語の主題を読み取ることができます。

今回は「両親や弟を憎らしく思う気持ちでいっぱいだった」主人公が、様々な経験を経て「両親や弟を好きな気持ち」に気づくことができました。
そこから「家族の大切さ」「家族との繋がり」が主題である作品だということが読み取れます。

物語全体の大きな流れをとらえて、そこから物語の主題を読み取ることが重要になります。
【プラス心情→マイナス心情→プラス心情】という心情変化は、物語の定番的な流れなので、しっかりおさえられるようにしておきましょう。

[主人公の変化後の心情]
〇自立して生きていきたいと思うようになった → プラス心情
(140行目)どこでどうやって生きていくかは自分で決めたいと、真記は思うようになっていた。かなうなら、英語の力でお給料を稼ぎ、誰の世話にもならずに暮らしたい。
(153行目)三原の本家に泊まりに行くたびに、真記は自分の人生は自分で決めたいと強く思った。

上記のように、[変化前]は自分の感情は他者に依存しています。両親、誠一、伯父夫婦の言動によって心情がゆれうごいているのです。
つまり、他者によってふりまわされていた自分を、自分自身の力で変えようと決断したことが大きな心情の変化になります。
心情の変化に注目しながら読み進めていくことが、物語文を読み進めていくうえで、とても重要なことになります。

第1回合不合判定テスト 物語文の記述問題【まとめ】

今回は物語文の記述問題を解説していきました。
記述問題を解くうえで「どのような考え方がポイントになるのか」を理解していないと、正しく解答することができません。

今回のポイントのまとめ
①[問の中心]を見つけ、文末表現に気をつけながら[問の中心]の答えを記述する。
 →できるだけ短い文章で[問の中心]の答えを考えるのがポイントです!

②―――部の直前・直後の文章を丁寧に読み取る。
 →複雑な心情を読み取るために、――――部周辺の記述には特に注意しましょう。

③主人公の心情がどのように変化したのかに着目する。
 →物語全体の心情変化をとらえ、主題を考えることも大切です!

上記の内容は、今後も物語文を読んでいくために重要なポイントです。
つまずきやすい記述問題を解くために、ぜひ参考にしてみてください。

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