【2024年度入試問題】海城中学校 国語・物語文[大問1]全12問を解説

(問7)選択問題 書道に集中する生徒たちの様子

子どもたちは、遠田が夏の風を感じさせたことによって、『風』をどのように表現するか試行錯誤しているため集中していると読みとれる。

―線7の直前に〈でも〉と書いてあることにも注目です。
(エアコンの風がゴウゴウ音を立てている)→〈でも〉生徒たちは気をとられることなく半紙に向き合っている … 作者は生徒たちの集中している姿を描くためにエアコンの音のことを書いていることがわかります。

このことを押さえておき、選択肢からまちがった記述を見つけていきましょう。

(ア) … ✕他の季節の風との違いを文字で書き表す
→子どもたちは、他の季節の風との違いを表そうとしているわけではなく、今感じた風を書き表そうとしているので✕

(イ) … ✕これまでは自分の中にある思いをうまく形にできなかった
→自分が感じたことを形にするということに、子どもたちは初めて挑戦しており、これまでに課題をもっていたわけではないので✕

(ウ) … ✕仕切り直しをしようという気分になり
→風をあびて気分を変えたから集中しているわけではなく、風をどのように表現しようかと試行錯誤しているので✕

(イ)の選択肢と迷ったかもしれません。(エ)の選択肢と比較してみると、(エ)それぞれの夏の風を文字で表現しようと意気ごむという記述が、最も適当であると考えられます。

(イ)の選択肢とまちがいやすいので、(エ)とのちがいに注目するようにしましょう。

(問8)選択問題 生徒たちの作品に見入る主人公の心情

主人公は、生徒の字に夢中で見入っています。
その理由は
(P5・11行目)窓からの風を感じたあとの生徒たちの字は生き生きと躍動して見えた。
という文章から読みとれます。ここから、遠田の指導によって変化した子どもの字に驚き、どのような字を書くのか興味をもっていることがわかります。

このことを押さえ、選択肢のまちがいを見つけていきます。

(イ) … ✕遠田の手本から、生徒たちは何かを吸収することができたのかどうか
(ウ) … ✕手本に近づいてきた
→主人公は、子どもたちは手本通りに書こうとしているわけではないのでまちがい。―線8の前の一文にも、遠田は手本と近づけるアドバイスはしなかったとある。

(エ) … ✕独りよがりなところの目立つ遠田の指導から、どうにかして何かを学ぼうとする生徒たち
→子どもたちは遠田の指導によって、自分から表現しようとしているので✕

このように考えると、(ア)前よりも明らかに良くなったように見える生徒の作品に主人公は引き付けられているため(ア)が正答だと判断できます。

(問9)選択問題 主人公の心情が変化した理由

(問9)で問われているところが、主人公の変化があった重要な場面になります。
遠田の発言を「書への冒瀆」だと思っていた主人公が、―線9では「やはり逸材なのだろう」と感じています。心情の変化があった場合は、変化の原因を丁寧に読みとっていきましょう。

(P5・18行目)俺は感心した。
(P5・19行目)なにより、遠田に書を褒められ、改善点を教えてもらう子どもたちの、誇らしげで楽しそうな表情といったらどうだ。

このような記述から、主人公がプラス心情であることがわかります。
19行目に〈なにより〉と書かれているので、子どもたちが生き生きと楽しんで表現している様子に、一番心が動かされていることがわかります。

これをもとに、選択肢を見ていきましょう。

(ア) … ✕遠田の手本にあこがれを持ち、少しでも近づこうと努力している
→子どもたちは手本通りに書きたいと思って書いているわけではないので✕

(イ) … ✕上達することを目指さずに楽しんでいる
→子どもは、遠田に褒められたり改善点を教えてもらったりしてうれしそうにしているので✕


(ウ)と(エ)で悩むかもしれませんが、そんな時は選択肢をくらべます。

(ウ)自分の個性を見つけ出そうとしているから
(エ)〈子どもたちが〉実に生き生きしているから

このようにくらべると、個性を見つけ出そうとしているというのは言い過ぎで、生き生きしている子どもの様子から遠田を「逸材だ」と思っているほうが適切だとわかります。そこで、(エ)が正答と判断できます。

(問10)選択問題 ゆったりと花丸を描いた遠田の心情

この問題は、遠田の心情を読みとる問題になっています。
まずは、消去法でまちがった選択肢を見つけていきます。

(ウ) … ✕悪寒を思い浮かべて書いた子の方が、他の子たちの文字と比べてもはるかに出来栄えが良く
→遠田は、悪寒を思い浮かべた子の字を認めつつも、「反則技かましてくるんじゃねえ」と言っているため、他の子たちと比べて良いと評価してはいない。

(エ) … ✕「風」の字のあらゆる線が震えてしまって出来ばえが良くないが、
→遠田は「悪寒っぽさを伝えてきたおまえの字がすごい」と言っているので、線が震えてしまって出来ばえが良くないとは思っていない。


(ア)と(イ)で迷うかもしれませんが、困ったら選択肢の文のちがいに注目してみましょう。
すると、後半部分にちがいがあることがわかります。

(ア)自分なりに実感をこめて表現できていることは認めてあげたい
(イ)あえて褒めることで手なずけてしまった方が良い

このようにくらべると、(イ)の手なずけたいと思って行動したとは考えにと判断できるので、(ア)が正答であると判断できます。

(問11)選択問題 照れ笑いをした男の子の心情

次は、いたずらをした男の子の心情の読みとりです。
まずは誤答から解説していきます。

(ア) … ✕あまりに幼稚ないたずらをしたことを恥ずかしくも思いつつ
→―線11に「いたずらが成功してうれしそう」と書いてあるので✕

(イ) … ✕自分なりに気持ちをこめて書いた字の出来ばえを褒められて
→子どもは、いたずら心から震えた線の「風」を書いたのでまちがい

(エ) … ✕意図していなかった点について褒められて、きまりが悪い
→意図的におこなったいたずらに気づいてもらえてうれしかったのでまちがい

このように見ていくと、(ウ)の遠田に「思い浮かべたことが伝わる字であると褒められたこと」と「遊び心に気づいてくれたこと」が、子どもはうれしかったと考えられるため、
(ウ)が正答であるとわかります。

(問12)選択問題 きちんと礼をした生徒の様子からわかること

最終問題は、生徒の行動の理由を選ぶ問題です。
この問題も、消去法で考えると、(ウ)と(エ)は誤答であることがすぐにわかります。

(ウ) … ✕いいかげんに見える遠田も実はしつけには厳しく
(エ) … ✕一刻も早く遠田の許しを得てすぐにでも遊びに行けるように
→遠田がきちんと礼をさせている場面は書かれておらず、遠田自身がきちんと礼をしていないので、しつけに厳しい人物であるとは読み取れない


(ア)と(イ)をくらべてみましょう。

(ア)遠田に対して、生徒のほうが大人で
(イ)〈生徒は〉遠田に、親しみだけではなく敬意をもって接している

(ア)生徒のほうが大人だから礼儀正しくしているのか、(イ)遠田に敬意をもって接しているから礼儀ただしいのか、くらべて考えると(イ)が適していると判断できます。

【2024】海城中学校・国語の物語文 まとめ

今回解説した内容はどうだったでしょうか。
問題数が多い上に、いろんな登場人物の心情を考えないといけないため、
苦労した人も多かったのではないでしょうか。

解答のスピードを上げるためには、解答の手順を覚えることが大切です。
解答の手順を覚えれば、「次に何しよう?」と考える時間がなくなります。

選択問題の解き方は、以下の記事で解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。

↓↓選択問題のスピードをあげるための[5つの手順]を解説

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